【落雷事故】心肺停止2人・他に救急搬送16人 ~宮崎市のサッカー場~
■宮崎市の高校のサッカーグラウンドで落雷発生
・令和6年4月3日(水)の14時40分頃に、宮崎市の鵬翔高校サッカーグラウンドにてサッカー練習試合中に落雷が発生し、18人の高校生が救急搬送されました。このうち2人は心肺停止です。(発生直後の報道による)
・雷注意報が前日から出ていました。
・以下は、当日の九州南部の雷ナウキャストの画像をもとに、落雷発生に至る状況をまとめたものです。
★末尾に印刷用PDFを追加しましたのでご利用ください。
■気象情報(一般的名称ではなく、気象情報という名の情報)
・前日から次の気象情報が繰り返し発表され、落雷・突風・強い雨への注意が呼びかけられていました。
(気象庁のサイトから転載)
落雷と突風に関する宮崎県気象情報 第1号 |
2024年04月02日11時00分 宮崎地方気象台発表 |
宮崎県では、3日明け方から4日にかけて落雷や竜巻などの激しい突風、急な強い雨に注意してください。
前線を伴った低気圧が3日から4日にかけて九州付近を通過する見込みです。この前線や低気圧に向かって暖かく湿った空気が流れ込み、宮崎県では3日明け方から4日にかけて大気の状態が非常に不安定となる見込みです。 <防災事項> 今後、発表する注意報、気象情報に留意してください。 次の情報は、2日16時30分頃に発表する予定です。 |
■気象庁・雷ナウキャストの状況
・筆者がパソコンを使用中に落雷のニュースが表示されたので、雷ナウキャストの表示を見ました。
・雷ナウキャストは次のサイトでご覧になれます(タイトルをクリックしてください)。
①画面左上の上から2番目のマークをクリックすると現在地周辺の地図が表示されます。
・画面をドラッグして見たい地域を表示することもできます。
・マウスのローラー(ホイールボタン)で地図の表示サイズを調節してください。
②右上の丸いマークの左から2番目(雷活動度)と5番目(前5分間の雷状況)をクリックして、マークの色を緑色にします。
③マークの上にカーサーを持って行くと説明が表示されるので、操作の参考にしてください。
★以下の画像はすべて気象庁のサイトからコピーしたものです。
・14時40分頃の現地付近は、対地放電(落雷)が1回、雲放電が1回だけ記録されており、落雷多発という状況ではありませんでした。ただし、雷活動度は3の赤い表示になっていて、すぐ退避すべき状況でした。
・現場近くの人が「午後2時から2時半の間に、一度、バンという大きな音の雷が近くに落ちた」と話しているので、雷ナウキャストとほぼ一致しています。
■今回の落雷の特徴と対応案
★特徴
・当日の14時20分~14時40分の鹿児島県から宮崎県にかけての広い範囲の雷ナウキャストの記録を見ると、活発な雷雲が高速で南西から北東へ移動していることがわかります。
・当日の気象情報に留意し、スマホ等で気象庁の雷ナウキャストを見ていれば、落雷事故を回避できた可能性大です。
【14時20分】
・桜島付近から東にかけて赤色の雷活動度が高い地域があり、落雷(■印)も発生しています。
【14時30分】
・わずか10分で、雷雲が宮崎県に入りました。
【14時40分】
・宮崎県内で雷が活発に活動し、宮崎市内で落雷(■印)が発生しています。
★対応案
・登山、屋外スポーツ、祭り、野外コンサートなどの野外活動を安全に行うには、前日と当日に気象情報・警報・注意報を見て安全を確認する必要があります。
・今回のケースでは、雷ナウキャストで少し広範囲の落雷状況を見ていれば、活発な雷雲が高速で宮崎市へ接近していることがわかり、早めに避難できた可能性があります。
・当日の宮崎市は雷注意報が出ているので、練習試合開始前から継続的に雷ナウキャストを確認する必要がありました。
・落雷事故防止については次のサイトをご覧ください。
落雷事故防止対策 ~落雷事故は防げる 2022.10.29更新~
【追加情報】
・サッカー試合中の落雷事故としては、1996年に大阪府高槻市で行われたサッカー試合中の落雷事故において、引率教師が注意義務を怠ったとして賠償を命じられた最高裁判決があります。当日の気象状況から判断して、落雷は予見できたというのが理由です。次のサイトをご覧ください。
・この事故の10年後に、日本サッカー協会から「サッカー活動中の落雷事故の防止対策についての指針」が発行されました。
■落雷関連情報
・富士が丘ポータルサイト内の情報です。
雷ナウキャスト(落雷多発)の画像実例 ~猛烈な雷雨の記録~ 2023.08.21
雷ナウキャストの画像実例 ~強烈な雷雨の記録~ 2023.06.28
落雷事故防止対策 ~落雷事故は防げる 2022.10.29更新~
2024.04.21 更新(内容の更新とPDF添付)
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