福島大池の「かいぼり」
■有馬富士公園の福島大池では、3年毎に池の水を抜いて底を天日にさらす「かいぼり(掻い掘り)」が行われています。令和元年11月3日のかいぼりの状況をご紹介します。福島大池は奈良時代に名僧・行基が谷を堰き止めて造ったと言われています。
■筆者はかいぼりのことを全く知らなかったのですが、たまたま11/01(金)に有馬富士公園へ行ったところ、福島大池の水面が大きく下がっていて水際に鳥たちが茫然?と立っていました。藁葺民家におられた地元の方に聞くと、3年に1回、水を抜いており、今年は11/03(日・祝)に水を全部抜くとのことでした。魚はいったん取っておき、再貯水後に戻します。大きい鯉がいるそうです。
■11/03(日・祝)の正午過ぎに福島大池へ行くと、池底の大部分は土が露出していて、底樋(そこひ)の付近の深い部分に少し水が溜まっているだけでした。樋の付近におられた地元の方に聞くと、底樋は現在閉じた状態であり、もうすぐ底樋を開いて泥を流す作業をするということでした。近くには大きい鯉や小魚が入ったポリ容器がありました。
斜樋(しゃひ)や、斜樋2本の先にある底樋のハンドルがよく見えて樋の構造がよくわかりました。斜樋2本は池の異なる深さにある弁を開閉するようになっており、底樋は最深部にありました。
地元の方によると、今日は泥を流した後、底樋を閉じてすぐに貯水を始めるということでした。また、昔は底樋の周辺はもっと深かったのですが、最近は泥がかなり堆積したそうです。
水がなくなったので、鳥たちは水面に居ることができません。数は少ないですが、シラサギ、アオサギ、カワウは木の上に止まっていました。カモの姿は見えません。
13時頃から底樋の泥を流す作業が始まりました。作業者はゴム長靴を履いて底樋まで降り、スコップで泥を移動させていました。年長の人から「やり過ぎると泥が底で固まるから、ほどほどにしろ」と指示が出ていました。作業中も流入する水があります。流入する水は池底に川のような筋を作っています。やがて作業が終わり、ハンドルを回して底樋が閉じられると水位が上がり始めました。ずっと昔から行われているかいぼりは、なかなか大変な作業だと思いました。
■参考写真(写真をクリックすると拡大表示できます。2019/11/03撮影)
1-かいぼりの2日前(2019/11/01撮影)
水位が下がり水際に鳥たちが茫然?と立っていました。
2-かいぼりの2日前(2019/11/01撮影)
流入する水が池底に川のように流れています。
3-かいぼり当日(水がない状態)
真ん中は水があるように見えますが、濡れた泥が光っているもので水はありません。
4-底樋
左下に底樋のハンドルが見えています。底樋の周辺だけに水が残っています。
5-退避中のシラサギ
シラサギは木の上にいました。
6-柿の収穫中
公園の方が福島大池の岸辺で柿を収穫中です。
7-底樋の泥除去
右下に底樋のゲートが見えています。
8-底樋の泥除去
スコップで泥を底樋のゲートに流し込んでいます。右と右上から水が流れ込んでいます。
9-泥除去終了
底樋が閉じられて貯水が始まっています。真ん中に長い斜樋があります。
10-貯水開始
底樋付近の水位が上昇しています。
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