北海道で小学2年の児童が熱中症で死亡 ~暑さ指数32.3℃の危険状態下の体育授業後~
■事故の概要
・令和5年8月22日(火)の正午ごろ、北海道伊達市の小学校で、グラウンドでの体育の授業を終えた小学2年の女子児童が熱中症とみられる症状で倒れ、意識不明の状態で病院に運ばれましたが死亡しました。
・当日の伊達市は熱中症警戒アラートが発表されていて、9~15時の暑さ指数(WBGT)は31℃以上の「危険」で、正午には32.3℃でした。
・「危険」の場合の運動に関する指針では、「運動は原則中止。特別の場合以外は運動を中止する。特に子どもの場合には中止すべき。」です。
・伊達市には気象庁のアメダス観測所が伊達小学校の2kmあまり西に設置されているので、熱中症警戒アラートの数値が参考になります。
■環境省の熱中症予防情報サイト
・当日の北海道・伊達の暑さ指数(WBGT)の記録は次のとおりです。
・赤色の部分は「危険」を意味し、運動に関する指針では、「運動は原則中止。特別の場合以外は運動を中止する。特に子どもの場合には中止すべき。」です。
・暑さ指数の説明や、日常生活に関する指針、運動に関する指針は次のサイトをご覧ください。
環境省熱中症予防情報サイト 暑さ指数とは? (env.go.jp)
★上表は次のサイトからコピーしました。
・8月22日に次のサイトの日表をコピーしたものです。
環境省熱中症予防情報サイト グラフ-今日 伊達(胆振) (env.go.jp)
■報道の状況
小2女子児童 体育の授業後に倒れ死亡 熱中症か 北海道 伊達 | NHK | 北海道
北海道・伊達で体育終えた2年女児が倒れ死亡、熱中症か…観測史上最高の33・5度記録 : 読売新聞 (yomiuri.co.jp)
熱中症疑い “小2女児” が死亡 体育の授業後に倒れる… 北海道伊達市 最高気温33.5℃ 統計開始以来で一番の暑さ | 北海道ニュース UHB | UHB 北海道文化放送
熱中症の疑い 小学2年生の女子児童が死亡 札幌市内は猛暑日に…臨時休校の学校も HTB北海道ニュース
・各社の報道内容は上記サイトをご覧ください。
・不思議なことに、上記報道の中で熱中症で特に重要なWBGTを記載しているのはNHKのみです。
・涼しい北海道のマスコミは熱中症の理解に欠けているのかもしれません。
■考察
・小学2年生の女児が死亡するという実に痛ましい事故です。
・熱中症予防にはWBGTを知ることが重要です。
・学校はWBGTを測定しなかったか、WBGT計を備えていなかったのではないかと思われます。
・学校は次の文部省のガイドを知らなかった可能性があります。
・エアコンが少ない涼しい北海道であるがゆえの事故かも知れませんが、災害級の猛暑が日常的になった現在では、学校の先生は熱中症の基本的な知識を理解しておく必要があります。
・筆者が兵庫県三田市富士が丘の小学校・中学校・特別支援学校に暑さ指数計(WBGT計)常備の有無を3年前に確認したところ、常備しているとのことでした。
■文部科学省のガイド
・文部科学省は熱中症予防のため、学校に対して次のガイドを出しています。
・ガイドの内容を理解していたら、危険なグラウンドで体育授業が行われることはなかったと思います。
「学校における熱中症対策ガイドライン作成の手引き」の作成について:文部科学省 (mext.go.jp)
■追加情報(当ポータルサイトに08/26、08/29追記)
・2023年 8月23日 18:25 掲載のHTBニュースに事故に関する重要な情報が記載されています。
熱中症疑いで小2女児死亡 学校側「暑さ指数」を確認せず 気温だけで判断「暑さ指数」とは? 伊達市
記事の要点は
①事故発生前に暑さ指数(WBGT)を測定していなかった。
②北海道伊達市の小中学校には暑さ指数計が備えられていない。
【まとめ】
・今回のケースでは、関係者が暑さ指数のことをまったく考えていなかったということになります。
・いろいろ事情はあるにしても、取り返しのつかない結果になってしまいました。
・暑さ指数の重要性を理解していれば、暑さ指数計がなくても、環境省の熱中症予防情報サイトで伊達の暑さ指数を容易に調べられたはずです。
環境省熱中症予防情報サイト グラフ-今日 伊達(胆振) (env.go.jp)
・環境省の「過去の傾向から見る熱中症リスクカレンダー」
環境省熱中症予防情報サイト 熱中症リスクカレンダー (env.go.jp)
上記サイトの地点の選択で、「北海道地方、胆振、伊達」を選択して過去5年間の7~8月のデータを見ると次のことがわかります。
-危険(WBGT=31℃以上) 6日
-厳重警戒(WBGT=28℃以上) 25日
涼しい地域なので、熱中症のことは念頭になかった可能性があります。
★今後、同様の問題発生を防ぐには、スマホでNHKニュース・防災のプッシュ通知を受けるなどの対応が必要ではないでしょうか。
=以上=