丹波篠山の春日神社「元朝能」 ~日本で最も早い「翁」~
■兵庫県丹波篠山市の春日神社能楽殿では元日の午前00:20頃から翁神事が行われます。
能楽殿は丹波篠山の藩主で能楽好きの青山忠良(あおやま ただなが)公が寄進したもので、重要文化財に指定されています。
■青山氏
青山氏は徳川家最古参の安祥譜代7家のひとつで、家康の江戸転封にともない、江戸に広大な屋敷地を与えられました。現在の東京青山通りや青山学院大学の名前は青山氏に由来します。
篠山藩は石高こそ5万石(後に6万石)ですが、たびたび幕府の要職につき4代目藩主の青山忠裕は32年間も老中を務めています。能楽殿を寄進した5代目藩主の青山忠良も老中でした。
■翁神事
翁は正月や祝賀能の最初に舞われるもっとも格式が高い特別な能です。
春日神社の翁神事では、観世流梅若派が毎回シテ(能の主役)を務めています。梅若派は丹波猿楽の流れを汲むそうです。今回のシテは梅若久紀、千歳は遠田修、小鼓は大蔵流小鼓方宗家の大倉源次郎他、笛は赤井啓三で、他に地謡や後見の方々が出演していました。
翁神事は、神主による神事の後、千歳が軽快に舞い、次に翁の面を付けたシテが天下泰平、国土安穏、五穀豊穣、延命長寿を祈って荘重に舞います。所要時間は神主による神事が約10分、千歳と翁が合計で約30分です。
■参考写真(写真をクリックすると拡大表示できます。2020/01/01撮影)
1-能楽殿(12/31 23:45)
2-神主による神事(01/01 00:09)
3-千歳と面箱(00:21)
千歳が恭しく面箱を捧げ持って登場し、シテの登場を待っているところです。
4-シテの登場(00:22)
5-囃し方が着座し演奏開始(00:26)
中央が大蔵流小鼓方宗家の大倉源次郎、すぐ左は子息の大倉伶士郎。右端は笛方の赤井啓三。
6-面箱を前に置いてシテが朗々と謡います(00:27)
7-千歳の舞(00:30)
千歳は元気よく舞います。
8-千歳の舞(00:32)
シテが翁の面を付けている最中です。
9-千歳の舞(00:33)
シテが面を付け終わりました。
10~16-翁の舞(00:34~00:44)
翁の面を付けたシテは神となって、天下泰平、国土安穏、五穀豊穣、延命長寿を祈りながら舞います。
17-翁の舞終り(00:47)
翁の面を外して面箱に入れます。
18-シテと千歳の退場(00:50)
舞台におひねりがたくさん落ちています。翁が始まってしばらくすると、観客から次々におひねりが投げ込まれまるのです。
19-拝殿前に初詣客が並んでいます(01:03)。
20-能舞台の様子(01:03)
21-能舞台が幔幕で覆われました(01:11)
幔幕の2つの紋は両方とも青山氏の紋です。
22-夜が明けて昼間の初詣の様子(15:13)。
23-青山忠良公の顕彰碑(15:21)
能楽殿を寄進した青山忠良公の顕彰碑です。
24-春日神社(15:24)
左が本殿、右が拝殿、後方右端に頂上部が見えている山は多紀連山の最高峰・三岳(みたけ、793m)です。
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