校外学習の児童が熱中症で死亡した事故の考察 ~熱中症計利用のすすめ~
■豊田市の報告書
2018年7月17日に愛知県豊田市の小学生が校外学習から戻った後、救急搬送されたものの熱中症で死亡する事故がありました。
これについて「市が設置した第三者調査委員会」が、「教員に熱中症の知識が不足していたため、校外学習を中止する判断に至らず、事態を回避できなかった」との報告書を2019年3月5日に提出しました。
当時の報道を見ると、この結論もやむを得ないと思いますが、一方では事故直後の7月23日に気象庁が緊急会見を開き、記録的な暑さを「1つの災害と認識している」と史上初めて表明するような状況下で、小学校の教員のみに責任を押し付けてよいのかとも思います。
【参考情報】
★小1男児が熱中症で死亡 校外学習中に「疲れた」訴え
朝日新聞デジタル 2018年7月17日20時02分
https://www.asahi.com/articles/ASL7K5DNSL7KOIPE01B.html
★愛知・豊田市の小1男児が熱中症で死亡…校外学習で行った公園の過酷な暑さ
FNN PRIME(グッディ) 2018年7月18日 水曜 午後8:28
https://www.fnn.jp/posts/00338740HDK
★熱中症知識不足し防げず 愛知・豊田の男児死亡で報告書
日本経済新聞 2019/3/5 18:42 (2019/3/5 20:09更新)
https://www.nikkei.com/article/DGXMZO42058080V00C19A3000000/
■客観的な判断の必要性
豊田市や、その後に発生した別の市の小学校の救急搬送ケースでも、過去に経験のない状況下での事故である旨の発言を校長がしていました。最近は過去に経験のない異常な気象状況なので、経験にとらわれない柔軟な対応が必要です。経験のみに頼ると命を失いかねません。
現在では、暑さ指数(WBGT)に応じて対応することが最善と考えられています。暑さ指数を簡単に測定できる熱中症計(暑さ指数計、WBGT計)も市販されています。
日本サッカー協会は試合会場に熱中症計を持ち込んで暑さ指数を測定し、試合の運営に役立てるようガイドラインを策定しています。学校その他でも、熱中症計で暑さ指数を測定した上で行事等の運営を行うことが重要ではないでしょうか。
■暑さ指数への対応
次の環境省のサイトに「日常生活に関する指針」と、「運動に関する指針」が記載されています。
★暑さ指数(WBGT)とは?
http://www.wbgt.env.go.jp/wbgt.php
指針を印刷する場合は、次のマニュアルからが便利です(環境省のサイト)。
★熱中症環境保健マニュアル 2018
「5.暑熱環境と暑さ指数」の2頁目の「表1-1 暑さ指数に応じた注意事項等」
http://www.wbgt.env.go.jp/pdf/manual/heatillness_manual_1-5.pdf
【熱中症計の使用例】
★35度超なら体育や部活禁止 熱中症対策、運動会は10月以降に
京都新聞 2019年07月06日 21時46分
https://www.kyoto-np.co.jp/shiga/article/20190706000104
小学校で教諭が熱中症計を身に付けて常に気を配っている事例が紹介されています。
★今夏「ほぼ平年並み」でも熱中症大丈夫? アツいまちの“涼活”がアツい
スポーツ報知 6/16(日) 12:03配信
https://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20190615-00000062-sph-soci
埼玉県熊谷市では、市内の全中学の全部活を対象に、携帯型のWBGT(暑さ指数)計を配布。生徒が自分たちで測定を行うことで、部活動の実施や休憩の指標にすると共に、自らが暑さ対策に意識を持つことを促すということです。