羽束山 ~三田市の鋭鋒にして名峰~
■羽束山(はつかやま、524m、兵庫県三田市香下)
*令和5年12月26日(水)に久しぶりに羽束山に登りましたので、記録をご紹介します。
*羽束山は初日の出登山の山として知られており、元旦には多くの人が登ります。
*羽束山頂には羽束神社と観音堂があり、古来、信仰の山でもあります。
*香下から羽束神社までの参道の所要時間の目安は、登り50分、下り30分ですが、人によって大きく異なります。
★注意
*初日の出登山は、積雪や路面凍結に注意してください。照明具、防寒具も用意してください。
*香下から羽束神社までの参道は整備されていますが、急なので杖・ストックがあると安全です。
*山中には地図に記載のない道が多数あるので、不用意に踏み込まないように注意してください。
★初日の出
*三田市の初日の出は07:07に東南東の方向(方位角117.9度)から昇ります。
*このデータは地平線に太陽の上辺が一致する時点のもので、実際には山があるため少しずれます。
*方位角は、北が0度、東が90度、南が180度、西が270度です。
*今回は初日の出遥拝の下見を兼ねて登りましたが、元旦に実際に行くかどうかはわかりません。頂上部は樹木が成長していて、以前よりも展望がよくないように感じました。
★伊勢神宮(内宮)が方位角110.5度の方向にあるので、羽束山で初日の出を遥拝すると、伊勢神宮も同時に遥拝できます。
■参考写真(写真をクリックすると拡大表示できます。2023/12/26撮影)
・パソコンよりもスマホの方が画素密度が高いためきれいに見えます。
①羽束山(県道川西三田線から登山口へ少し登った地点から撮影)
・左から宰相ヶ岳(さいしょうがたけ、500m)、羽束山、甚五郎山(じんごろうやま、430m)です。三山まとめて羽束山です。
・写真では右端の甚五郎山が高く見えますが、西側の有馬富士公園から見ると、高さの違いは一目瞭然です。
②ため池
・県道川西三田線(バス道)から登山口への途中の小池の水がなくなり、底が天日干しの状態でした。
③香下寺(かしたじ)
・登山口の近くにある古刹で、古墳時代の敏達天皇の御代に百済の高僧日羅上人が開山しました。
④薬師堂
・登山口の近くにあるお堂です。
⑤登山者数のカウンター
・手動式のカウンターで、筆者が157人目でした(カウント開始時期は不明)。
⑥羽束山登山口
・登山道には丁石があり、登山口が12丁目、中頃の六丁峠は6丁目です。
・中央の白壁は八王子神社の建物の一部です。
⑦登山口の石碑
・写真中央の2つは、西国三十三ヶ所巡拝の供養碑らしく、左の大きい石碑は安永九年と読めます。西暦1780年で江戸時代のものです。
⑧八王子神社
⑨石段
・六丁峠までの参道は石段があり、一部にはロープが付いています。
⑩六丁峠
・お地蔵様と南無阿弥陀仏の石碑があります。
・六丁峠から左へ進むと羽束山、右へ進むと甚五郎山へ行きます。
⑪六丁峠の丁石
・写真の真ん中下に丁石があります。
・羽束山頂上への参道は、丁石の前(写真の右)に広い道があります。
・丁石の後ろには羽束山頂上への岩尾根直登ルート(岩場多数)の入口がありますが、道標はなく経験者向きです。
⑫石仏
⑬石仏前の展望
・南東方向の展望で、右上の山は宝塚市の最高峰・大峰山(おおみねさん、552m)、左から2つ目の形の変わった山は古宝山(ふるぼうさん、459m)です。
⑭桟道(さんどう)
・羽束山の六丁目から上の参道はゆるやかなので気が付きにくいですが、急斜面を横切るように登っています。
・桟道は急斜面から棚のように張り出して付けられた道です。
⑮~⑯石段
⑰樹間の参道
・高く伸び生い茂った樹々の間を進みます。
⑱スギ?の大木
・大木の近くに祠があります。
・地上に長い根?が出ているのは、岩山なので地中に伸ばせないからではないかと思います(筆者の推測)。
⑲参道沿いのモミの大木
⑳~㉑羽束神社
・鬱蒼たる樹木に囲まれて山頂に鎮座する神社です。
・鳥居の近くに積まれた丸太は、初詣客に暖を提供するためのものです。同様の丸太は登山口にも積んでありました。
㉒頂上部南端の岩場
・岩場の南は断崖なので注意の標識があります。
・六丁峠から岩尾根直登ルートを登ると、標識の後に出て来ます。
㉓直前の写真の岩場から見た東側の風景
・初日の出は中央部の2つの山の間の後方稜線から現れます。
・写真中央の2つの山(こぶ)は、左が天狗松(てんぐまつ、340m)、右が布見龍王山(ふみりゅうおうざん、368m)です。
・右下に神戸市水道千刈水源池の北端部が見えています。
㉔羽束山の頂上部の西側の風景
・中央が有馬富士(ありまふじ、374m)で、その左後は加茂金毘羅山(かもこんぴらさん、356m)です。
・後方の白い建物群は三田市テクノパークの工場群です。
・なぜか空が霞んでいました。
㉕羽束山の頂上部の西側の風景
・中央の白い建物は三田市民病院です。その上から右が三田市ウッディタウン、左がフラワータウンです。
・三田市民病院の左下に有馬富士公園・あそびの王国の鬼の耳が見えています。
㉖観音堂の鐘楼
㉗観音堂
■和歌に見る羽束山
★羽束山は三田市の山としては珍しく、以下のように古歌に読まれており、歌枕であったことがわかります。
【新古今和歌集】
*三田市の山が勅撰和歌集に詠まれた唯一の事例と思われます。
*新古今和歌集に羽束山を詠んだ大江匡房の次の和歌があります。大江匡房が羽束にいた源頼綱に送った和歌で、源頼綱は多田源氏の一族なので羽束に住んでいたのかもしれません。
*「秋はつる はつかの山のさびしきに 有明の月を 誰と見るらん」
*関心をお持ちの方は、次のサイトの末尾近くの「雑」の項目をご覧ください。
大江匡房 千人万首
https://www.asahi-net.or.jp/~sg2h-ymst/yamatouta/sennin/masahusa.html
【その他】
*後鳥羽院集
「あふことも今ははつかのやまの名も我身ひとつに更る夜の月」
*土御門院御集
「津の国のなにはかくれぬ弓はりのはつかの山に残る月かけ」
*和泉式部集
「かぎりありてはつかのさとに住む人は今日かあすかと世をもなげかじ」
【参考】
①羽束山の山容は、「摂津名所図会」に「峰頭高く聳え形尖りて削るがごとし」とある。
*六甲最高峰へ魚屋道を登るとき、羽束山が急峻な二等辺三角形に見えます(筆者の経験)。
②「角川地名大辞典(旧地名)」
*羽束郷(古代)や和歌の説明が記載されています。
https://jlogos.com/docomosp/word.html?id=7395062
■羽束山登山の記録(富士が丘ポータルサイト、筆者投稿分)
2019/07/31投稿
2020/03/18投稿
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