六甲山地の秘峰・古寺山 ~平清盛が参詣した寺~
■古寺山(ふるでらやま、636m)は六甲最高峰のほぼ真西にあります。阪神高速道路北神戸線のからと東IC・からと西IC間の長い新唐櫃トンネルは古寺山の山体内を通過しており、六甲有料道路は古寺山の西麓を通っています。
古寺山は登山者が少ない静かな山です。
■古寺山の山上には法道仙人開基と伝わる多聞寺があり、福原遷都の際に平清盛が新都の鬼門の護りとしたため大いに繁栄しましたが、平家滅亡にともない衰微しました。その後、多聞寺は麓へ移転し現在は神鉄六甲駅の近くにあります。
多聞寺は六甲修験道とも関係が深く、寺名は六甲山吉祥院多聞寺と言い、六甲山上に奥の院があります。唐櫃(からと)の集落には、約1300年前に役行者の命により、奈良県天川村洞川から移り住んだ四鬼氏の子孫が今も住んでおられます。
■古寺山登山
古寺山には多数の登山道が存在しますが、地図や地形図には記載がなく、登山ガイドブックにもほとんど記載がありません。ネットには経験談の記載がありますが、道迷いをしたケースが少なくありません。
山中には手作りの道標があって助かりますが、○○道と記載されていても、その道の起点・終点がわからないため活用しにくいです。
登山する場合は、事前に情報を集めるとともに、地形図・コンパス・GPS装置などを活用することが重要です。経験の少ない人は登山経験の豊富な人との同行をおすすめします。初めての山を独りで迷わずに歩けるスキルのない人は単独で入山しない方が無難です。
★古寺山の記載があるガイドブック
『六甲山ショートハイキング77コース』 根岸真理著 神戸新聞総合出版センター刊
■以下は令和元年12月10日(火)に登山した事例です。
ルートは、神鉄六甲駅→上唐櫃山王神社→阪神高速・からと西IC入口→六甲有料道路の歩道→裏六甲ドライブウェイ→シュラインロード出合の北→古寺山の南側登山口→行者道→石塔→本堂跡→古寺山頂上→表参道→観音道→多聞寺→神鉄六甲駅。
古寺山の道としては、行者道を登り、表参道から観音道経由で下山しました。史跡や風景を見ながら4人でゆっくり歩いたものです。
所要時間=4時間40分、歩行距離=7km
■注意事項
*急な箇所があるので、登り下りは足元に注意してゆっくり歩いてください。ストックが役に立ちます。
*以前に筆者が案内したハイキングで、観音道を下山中に急な場所で参加者が足を滑らせて足首を骨折した実例があります。
このときは登山口に近くて携帯電話が通じたので、電話で119番通報したところ、すぐに救急車と消防車が来てくれました。登山事故は救出に人数が必要なため、救急車の他に大型消防車2台と小型消防車1台で隊員10数名が来て、負傷者をストレッチャーに載せて、あっという間に救出してくれました。まことに頼もしくありがたい限りでした。
*登山道に倒木や崩れかけたところがあるので注意が必要です。
*表参道の登山口(古寺山北端)近くの急な区間は、長い距離にわたって道の片側に鉄条網が設置されており、ふらついたり転倒して接触すると大怪我になる恐れがあります。
*頂上の北側の表参道・観音道方面への分岐は立ち木の手書き文字が参考になりました。これを見落とすと道間違いする恐れがあります(写真参照)。
■参考写真(写真をクリックすると拡大表示できます)
1-阪神高速からと西IC入口
この交差点を左折します。
2-写真1を左折した地点の風景
右側の未舗装道へ入ります。
3-水道施設
写真の道路のさらに右側の山道(この写真には写っていません)を少し進みます。
4-六甲有料道路へ向かう山道
水道施設には入らず、施設前から山道に入るとすぐ左側の地点に写真正面の道がありますが、写真左側の大木がじゃまになって道があることに気がつきません。この道に気づかずに進むと行き止まりになります。見落とすことなく写真正面の山道へ入ってください。
5-六甲有料道路の歩道
昔からの古寺山登山道や唐櫃古道を残すために、六甲有料道路建設時に歩道が付けられたようです。歩道は写真6のゲート付近まで続いています。
6-六甲有料道路のゲート
右手の裏六甲ドライブウェイへ入ります。
7-林道への分岐
裏六甲ドライブウェイから、左側の林道に入ります。林道を少し進むと、シュラインロード出合からの登山道が南側(右側)から合流します。
8-古寺山登山口
林道の左側斜面に踏み跡があります(見落としやすい)。登山口上部の木の根元に道標があります(写真9参照)。ここを登ったところを左折して熊笹の中の道を進みます。
9-古寺山の手作り道標
古寺山にはこのようなタイプの道標が多いです。
10-行者道の急登
これからしばらく急登が続きます。
11-登山道
急登が終わり緩やかな道です。
12-熊笹の道
13-道標
複数の道標が取り付けられているので、進むべき方向を慎重に見定める必要があります。
14-倒木
倒木がところどころにあります。
15-道標
木の裏側に「石塔」への道標が付けられています。写真の左端に石塔への道があります。
16-石塔
五輪塔のようです。
17-写真15と同じ分岐
木の幹に石塔と刻まれた道標が付いています。山頂へはここを左へ進みます。
18-矢竹
多数の細い竹は矢の材料となる矢竹です。昔、僧兵が使うために植えたのかもしれません。
19-道標
「山頂」方向に進むと、すぐに本堂跡があります。「本堂跡から山頂」方向に進むと、本堂跡までにかなり歩くことになります。
20-本堂跡
広い平坦地です。
21-古寺山頂
大岩の「修行岩」の前に「清盛涼み岩」があります。
22-展望所
山頂の西側に展望のよい場所があります。手前は神戸市北区の神鉄大池駅付近の街並、後方は丹生(たんじょう)山系の山並です。この日はかなり霞んでいました。
23-展望所
西側の風景です。左手前は阪神高速道路北神戸線です。
24-道標
木の幹に表参道などの文字が書かれていて、注意していないと見落とします。今回は右へ進みました。
25-道標
表参道と観音道の分岐です。左側の観音道へ進みました。
26-観音道の登山口
目の前は六甲有料道路です。道路直下を通るトンネルがありますが、立入禁止らしいのと、薄暗いのとで車道を渡りました(坂道を車が猛スピードで走るので要注意)。反対側のトンネル入口には立入禁止の札がかかっていました。
=以上=