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(富士が丘、上深田、池尻)

2022年 8月 16日 火曜日

奈良県・大峰山脈での遭難事例 ~9日ぶりに救助される~


投稿者:ささえあいふじ

2022年8月に発生した遭難事例について考えるとともに、スマホの「登山用 GPS地図アプリ」の有用性をご紹介します。

本件は9日ぶりに救助され、無事に生還ということで本当によかったです。

 

 

★★2022/10/18追記★★

【YAMAPの記事】奈良・弥山 遭難事故の記録|小さな火、絶やさなかった10日間

奈良・弥山 遭難事故の記録|小さな火、絶やさなかった10日間 | YAMAP MAGAZINE

YAMAP MAGAZINE編集部が遭難者の女性に取材した記事で、遭難の原因や救助に至る経緯が具体的に書かれています。写真や地図もあってわかりやすく、登山者必読の記事です。

 

 

★★2022/08/20追記★★

【後日談】 読売新聞 8/20(土) 14:46配信

タイトル:9日ぶり山岳救出の女性、電池節約が奏功…「家族ではなく110番で位置情報連絡を」

9日ぶり山岳救出の女性、電池節約が奏功…「家族ではなく110番で位置情報連絡を」 : 読売新聞オンライン (yomiuri.co.jp)

記事によると、

-2人は八経ヶ岳から下山後、早い時点の分岐付近で道迷いしたとみられる。

-登山地図は初日に紛失した。

(筆者の意見:各個人で紙の地図を持つべき。加えて「登山用 GPS地図アプリ」を使用するべき)

-偶然に見つけた簡易なトタン小屋を中心に過ごし、むやみに歩き回らなかった。

-ヘリの音が聞こえなくなった時点で捜索打切と判断し、尾根に上がってスマホによる連絡を試みた。

*筆者の実体験でも、警察や消防に連絡すればすぐにスマホGPSで現在地を確認してもらえました。

 

 

 

■遭難の概要(2022年8月)

*61歳と69歳の女性2人が、大峰山脈の弥山(みせん、1895m)に4日に入山したが、5日以降、連絡が取れなくなった。

-4日の正午頃に弥山に入山し、弥山小屋に宿泊。

-5日午前8時頃に弥山小屋を出発して、八経ヶ岳(はっきょうがたけ、1915m)経由で下山する予定が、5日夜になっても宿泊予定の民宿に到着せず連絡がないため民宿から警察に届けあり。

-6日から捜索開始。

-警察・消防は6~10日に捜索したが見つからず、捜索を打ち切っていた。

-13日午後6時半頃に61歳の女性から携帯電話で110番通報があり、警察が携帯電話の位置情報を確認。

-14日にヘリコプターで2人とも無事救助された。

*地元の役場に登山届が提出されていた。

*新聞記事によると登山者2人は、

-下山途中に霧が立ちこめる中で道を見失った。

-山中で見つけた屋根のある場所で火をたいて助けを待った。

-沢の水で水分補給をし、持っていたビスケットやチョコレートなどを少しずつ食べた。

-13日は体力のある女性1人が午前6時半頃から歩き始め、午後6時半頃、電波が届く場所にたどり着いて110番通報。

 

【参考記事】 朝日新聞

タイトル:山中で10日間、遭難した2人救助 沢の水やビスケットで命つなぐ

山中で10日間、遭難した2人救助 沢の水やビスケットで命つなぐ:朝日新聞デジタル (asahi.com)

 

 

 

■考察(筆者の主観)

*新聞記事を見ると、霧のため道を見失ったことが遭難の主原因と思われます。

*女性2人は登山届提出をはじめ、予備食料、たき火、モバイルバッテリーなど周到に準備していたことが生還につながりました。

*2人は登山に必要な経験と体力があったと推定されます。

 

 

■タラレバの話

*周到な準備と慎重な行動が9日ぶりの救助と生還につながったと思いますが、その一方で、なぜスマホの「登山用 GPS地図アプリ」を使っていないのかが疑問です。

ただし、女性2人が「登山用 GPS地図アプリ」を使用していたかどうかについて明確な記事はなかったため、実際どうだったのかはわかりません。

*スマホの「登山用 GPS地図アプリ」を使用していれば、そもそも霧の中でも道を見失うことはなかったはずです。

★★冒頭に追記したYAMAPの記事によると、「登山用 GPS地図アプリ」は使用していませんでした。

★警察庁「令和3年における山岳遭難の概況」によると、態様別山岳遭難者としては道迷いが最も多く、約42%もあります。登山において、道迷いの防止は非常に重要です。

-道迷い 1,277人 41.5%

 

 

 

■登山用 GPS地図アプリについて

*登山開始前に地図をダウンロードしておくと、携帯電話の電波が届かない山中でも、GPSが使えて地図上で現在地や歩いた軌跡がわかります。

*筆者はアプリのおかげで道間違いが激減しました(アプリを使用しても、時々確認しなければ道間違いします)。

*見守り機能のあるアプリを使うと、事前に設定した連絡先の人(家族など)が登山者の現在地や軌跡を見ることができます。スマホが圏外になる直前までの状況がわかりますし、一部の最新アプリでは途中ですれ違う登山者のスマホにデータを自動転送し、その登山者が圏内に入れば、受け取っていたデータをアプリ運営会社に自動送信してくれます。

*アプリを使用していることを警察に伝えれば、警察がアプリ運営会社に照会することにより、登山者の位置を確認し救助できる可能性が高くなります。

 

【参考情報】 登山用 GPS地図アプリ

★4つの「登山用 GPS地図アプリ」を徹底比較!気になるQ&Aも

4つの「登山用 GPS地図アプリ」を徹底比較!気になるQ&Aも | 【YAMA HACK】日本最大級の登山マガジン – ヤマハック

 

 

■参考写真(2010/07/10撮影)

次のオオヤマレンゲ(大山蓮華、天女花)の自生地は天然記念物です。

*八経ヶ岳頂上(近畿の最高峰、1915m)

 

*八経ヶ岳と弥山の鞍部の自生地に咲くオオヤマレンゲの花

 

*八経ヶ岳と弥山の鞍部のオオヤマレンゲ自生地を通る登山道(修験道の大峯奥駈道でもあります)

 

*八経ヶ岳と弥山の鞍部から見た八経ヶ岳

 

=以上=