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(富士が丘、上深田、池尻)

2022年 6月 21日 火曜日

姫路市・八丈岩山 ~播磨国風土記・伝説の山を歩く~


投稿者:ささえあいふじ

■八丈岩山(はちじょうがんざん、173m、兵庫県姫路市新在家本町)

【風土記】

・風土記は奈良時代初期に編纂され、各国の文化風土や地勢等を記録した書物ですが、その大部分は失われました。

・現存するのは、常陸国、出雲国、播磨国、豊後国、肥前国の五ヶ国のみで、播磨国風土記(一部欠落)は平安時代の写本が残っているそうです。

 

【播磨国風土記の十四丘伝説】

・飾磨郡の項に次の記述があります。

・大汝命(おおなむちのみこと)の息子の火明命(ほあかりのみこと)は、性質も行動もよくなかったので、父神は息子を捨てようとしました。そこで、船を因達神山(いだてのかみやま)につけて息子を水汲みに行かせ、その隙に船を出してしまいました。この時代には現在の姫路市一帯は海でした。

・水汲みから戻った火明命は、置き去りにされたことを知って大変怒り、激しい風波を起こしてついには船を破壊してしまいました。

このとき落ちた積荷が、十四の丘になったそうです。

・十四丘には、姫路城のある姫山とその近くの男山、仏舎利塔のある名古山などが含まれますが、よくわからない山もあります。

・因達神山は現在の八丈岩山であると言われています。

 

【高岳(高岡)神社】

・高岳(たかおか)神社は応神天皇、仲哀天皇などを祀る神社で、当初は八丈岩山頂上に鎮座していましたが、平安時代の天長3年(西暦826年)9月9日に現在の蛤山(はまぐりやま、別名・振袖山)に遷座され現在に至っています。

・蛤山の高岳神社は現在の姫路市西今宿8丁目にあります。

・その後、蛤山の高岳神社から、八丈岩山の北西側に位置する田寺東の高岡神社に分祀されました。

・神社の扁額や石碑の高岳の表記は、西今宿では「高岳」のみで、田寺東では「高岡」「高岳」が混在していました。

・高岳神社は播磨国第五の宮にして安室郷の総氏神です。

 

【ガイドブック】

・神戸新聞総合出版センター刊、横山晴朗著、『はりま低山ハイキング』 2015年発行

・八丈岩山、蛤山が記載されています。

・記載内容が古い場合があるので、現地の状況をよく見てご判断ください。

・蛤山で出会った地元の人の話では、八丈岩山はルートによって鎖があるとのことでした。

 

 

 

■参考写真(写真をクリックすると拡大表示できます。2022/06/17撮影)

 

①西新在家登山口

・姫路駅から西新在家登山口へは、姫路駅北口10番乗り場から⑦⑧⑨系統のバスに乗り西新在家バス停で下車します。

・姫路駅北口のバス乗り場の場所や時刻は事前にネットでご確認ください。

・西新在家バス停の少し東の交差点を北へ直進すると、写真の登山口に着きます。

 

②西新在家登山口の説明板

 

③~④登山道

・林の中に急で細い道が続きます。展望はほとんどありません。

 

⑤頂上直前の岩場

・手掛かりが多く登りやすい岩場です。

 

⑥姫路城

・写真中央は岩場の上から見えた姫路城。この日は霞んでいました。

・右上の平たい頭の山は、姫路市奥山の小富士山(こふじやま、173m、別名・麻生山)で、八丈岩山の南南東にあります。

 

⑦八畳岩

・八丈岩山の頂上のすぐ南にある広い露岩で展望絶佳です。

・右上の石柱には「高岡神社舊蹟」と「天長三丙午九月九日影向」が刻まれ、以前は八丈岩山に高岡神社があったことを示しています。

 

⑧蛤山遠望

・写真中央は蛤山(はまぐりやま、125m、別名・振袖山)の南端部分で、現在の高岳神社が鎮座しています。

 

⑨八丈岩山頂上の説明板

 

⑩八丈岩山の南側の風景

・中段左端は景福寺山、中央右は薬師山、続いて右は名古山です。

・薬師山の手前は御前山、後は手柄山です。

 

⑪八丈岩山頂上から名古山のクローズアップ

・中央の仏舎利塔内には、インドの故ネール首相から人類永遠の平和と幸福の祈願をこめて贈られた仏舎利を納めた厨子の仏舎利殿があります。

 

⑫八丈岩山の南南東の風景

・中段左に姫路城の櫓や城壁、中央に好古園の建物があります。

・上段右端にJR姫路駅前のホテルモントレ姫路の高いビルが見えています。

・最上段の山は仁寿山(じんじゅさん、175m)で小富士山の西にあります。

・下段中央は城乾(じょうけん)小学校、その右は城乾中学校です。

 

⑬八丈岩山の南東直下の風景

・中央は兵庫県立大学姫路環境人間キャンパス(前・姫路短期大学)です。

・上段の緑濃い部分は、姫路城の北側の兵庫県立歴史博物館やシロトピア記念公園などがある区画です。

 

⑭八丈岩山の東南東の風景

・中央は姫路西高校、その上は姫路工業高校、左端は金山?(88m、山名不詳)です。

・上段中央は播磨アルプスの山並です。

 

⑮八畳岩の北側

・この先に祠と三角点があります。

 

⑯八丈岩山の祠と三角点

・ガイドブックによると高岡神社の祠であるようです。

 

⑰道標

・ここから左の田寺山手町へ下山しました。

 

⑱幅の広い緩やかな道

 

⑲分岐

・田寺山手町方面へ向かいました。

 

⑳送電鉄塔から西の風景

・上段の山並中央付近の送電鉄塔の左が蛤山(別名・振袖山)の山頂です。

・右下のグラウンド群は、上から順に安室中学校、安室東小学校、安室公園のグラウンドです。

 

㉑水道タンクへの分岐

・道標まで降りるとすぐ右に水道タンクが見えます。

 

㉒丸太階段

 

㉓変形四辻

・突如、階段が途切れ、四辻状の分岐に出ますが、案内はありません(登山道整備の予算が足りなくなったのかな?)。

・筆者はGPSアプリYAMAPを見たところ、すぐ近くに田寺山手町登山口があったので、分岐を右前に進みました。この先は道が急で荒れているため慎重に通過する必要があります。

・水道タンク付近から田寺山手町登山口の間は、ガイドブックの記載と異なっていて、今回の山歩き最大の難所でした。やはり、現在地が正確に把握できるGPSアプリは心強いです。

 

㉔田寺東町登山口

・中央の細い道から出てきました。右の建物は田寺山手町自治会館です。

・筆者はここからすぐ近くの高岡神社(田寺東)へ向かいました。

 

㉕蛤山から見た八丈岩山

・神が降り立つにふさわしい端正な姿の山です。

 

=以上=