千苅ダム ~竣工100年の神戸市の水がめ~
■千苅(せんがり)ダムは神戸市北区道場町生野に位置し、武庫川水系羽束川(はつかがわ)と波豆川(はずがわ)の水をためて千苅貯水池(国土地理院の地形図では、神戸市水道千刈水源池)を作っています。千苅貯水池は神戸市・三田市・宝塚市にまたがる広大な人造湖で、神戸市で最大の水道専用貯水池です。
千苅ダムはJR福知山線道場駅から徒歩約2kmです。千苅貯水池正門前に駐車場があります(無料)。
■千苅ダムの見どころ
大正8年(1919年)竣工ですから、令和元年(2019年)で竣工100年になります。千苅ダムは今もなお、豊かな水を湛え水道用ダムとして活躍中です。登録有形文化財と近代産業遺産に認定されていますが、技術も資金も現在ほどではなかった時代に千苅ダムを築いた先人たちに感謝・脱帽です。
高さ42.4m、長さ106.6mのダムから轟音とともに流れ落ちる水は迫力があります。写真撮影時に偶然来た十数名の登山者グループから歓声があがっていました。千苅ダムは表面が石張りなので、水が白く泡立って流れ落ち一層きれいに見えます。
ダム正面の他に、少し下流の左岸に放水トンネルの出口があります。ダムの水量が多い場合はこのトンネルから激しく放水されるので見ごたえがあります。
説明板では放水トンネルは越流トンネルと記載されています。貯水池の水の高さが規定レベルを越えると自然に放水される仕組みです。
千苅ダムに行った2019/08/24には、放水トンネルから水が出ていなかったため、古い2010/03/14に撮影した写真も以下に添付しています。迫力をお楽しみください。
■注意
千苅ダムから大岩ヶ岳(おおいわがたけ、384m)へ登ることができますが、大岩ヶ岳は地形が複雑で枝道が多い上に、きちんとした道標がありません。このため道迷いが多いことで有名です。
登山時は事前に下調べをするとともに、GPS登山アプリが使えるスマホ携行や、経験者との同行をおすすめします。
■参考写真(写真をクリックすると拡大表示できます。2019/08/24撮影)
1-千苅貯水場正門
正式には千刈ではなく千苅です(千苅はダムに沈んだ地名)。
2-千苅ダムへの道
ダムに近づくと轟音が聞こえてきます。写真では、放流された水が羽束川を勢いよく流れています。左上にダム本体の一部が見えています。
3-千苅ダム
ゲート全開で放流中です。アーチ状の管は、水道送水管です。
4-説明板
5-放水トンネル出口
6-放水トンネル出口
トンネルが見えています。
7-放水トンネル放水中(写真は2010/03/14撮影)
8-右岸から見たダム
9-堤頂部
機械がずらりと並んでいます。関係者以外は入れないので、ゲートの鉄棒の間から撮影しました。正面の山上に神社が見えています。
10-丹生川上神社の分祠
この神社は、戦前に神戸市長などが「雨乞い」のために奈良県の丹生川上神社中社に参拝し、千苅ダムに分祠したものです。
11-中層曝気装置
水質保全のための装置です。
12-ダム竣工記念碑
大正時代のものですから、「天助人」は右から順に「人は天を助く」と読むようです。重機もダンプカーもない時代に難工事を成し遂げるには、これぐらいの気概が必要だったのでしょうね。
13-ダム竣工記念碑
14-ダム拡張工事竣工記念碑
15-右岸から俯瞰
16-放水トンネルから放水中(写真は2010/03/14撮影)
17-放流中の水門
18-認定プレート
登録有形文化財と近代産業遺産の認定プレートです。
19-左岸下流から見たダム
20-放水堰堤(越流堰堤、洪水吐)
登山道から枝道を少し分け入って撮影しました(湖に落ちないように要注意)。ここから落ちる水が放水トンネルから放出されます。左後にトンネルが見えています。
=以上=